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色々な方に読んで頂いてたのに、更新しなくて済みませんでした。
僕自身、この一年に色々なことがあり過ぎて、書く時間も気持ちのゆとりも失っていました。
今更と思われるかもしれませんが、最後まで書き上げたいと思いますので、お付き合いください。
Kさんのお部屋に通されてからは少しだけ落ち着きました。
久しぶりに見る恋人のお部屋は以前と変わらず少し殺風景で、よく片付いていました。隅っこに置かれたアイロン、台所のお鍋、布団など所々に見える生活の匂いが、ほんのり温かみを添えてくれてます。
Kさんがコップを二つ、持ってきてペットボトルのお茶を注ぎ、一つを僕に寄越してくれました。
僕は押し黙ったまま、コップを見つめるだけ。
Kさんはその背後で着替えをしています。
部屋着と寝間着の兼用みたいな、古ぼけたジャージになると僕の前に座り、お茶をぐいっと飲みました。
僕はなんて話したらいいのか、わかりませんでした。狂ってしまったかのようにコップばかり見つめているだけ。
Kさんは新しいお茶を注ぐと、買ってきた物をテーブルに広げました。
『俺、メシ食うけど…いいかな?』
僕に憚るような口調で言いましたが、僕は答えられませんでした。
『直紀も、食うか?』
やっぱり答えられませんでした。
Kさんは夕ご飯を始めました。出来合いのフライ物とお惣菜、インスタントの味噌汁だけ。お供はお茶。
食べてる姿を少しだけ見ましたが、居酒屋さんで見せていたあの豪快さはなくて侘しくて、病人さんのようにも思えました。
『店、辞めたんやな?』
ご飯に味噌汁をかけながらKさんが言いました。
『大将が残念がってたよ。どうしたん?』
『…ごめんなさい』
ようやく言い出せた一言でした。
『…いや、責めてんちゃうで。受験とかもあるやろうし。…まあ、俺も最近ずっと行ってないんやけどな』食事を終えてテーブルの上を片付け始めました。
お店を辞めた理由、言い出せるはずはありません。
他の男の人に汚された体です。話せば全てが終わるに違いありません。
僕は俯いたまま、ぐっと唇を噛んでました。
『どないした?何をそんなに思い詰めた顔してるねん?』Kさんが僕の傍に座り直しました。手がすっと頬に触れました。
僕は咄嗟にその手を払い除けてしまいました。さっきは自分から抱きついたのにどうしてなのか、まるでわかりませんでした。
『ご、ごめん…』
謝ったのはKさんでした。気まずい空気が流れていきました。
『…遅くなったらあかんから…帰り。…今日は来てくれてありがとうな?…久々顔見れて、嬉しかったわ』Kさんの言葉に、僕はギクリとさせられました。
頭に浮かんだ『お別れ』の冷酷な文字。
大好きな人の姿を見失いたくなくて、意を決したというのに、僕と来たら!
鉄の階段を駆け上がった、さっきの『くそ度胸』が再び沸き上がってきました。僕は立ち上がると、着ている物を脱ぎ捨てました。
『お、おいっ!』
Kさんが慌てて止めようとしましたが、僕は構わず、全部かなぐり捨てました。そうして、Kさんの胸に飛び込みました。
『僕は汚れてしまった子です。…それでもいいなら…抱いてください…』
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