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【239】昔の話 直紀 09/8/30(日) 16:18

【251】[管理人削除]
【255】昔の話 13 直紀 09/10/4(日) 1:34
【256】[管理人削除]
【257】昔の話 14 直紀 09/10/7(水) 3:50
【258】昔の話 15 直紀 09/10/13(火) 22:42
【268】昔の話 16 直紀 10/11/20(土) 0:41
【269】昔の話 17 直紀 10/11/20(土) 1:30
【270】昔の話 18 直紀 10/11/20(土) 14:18
【271】昔の話 19 直紀 10/11/20(土) 22:57
【273】昔の話 20 直紀 10/11/23(火) 1:16

【251】[管理人削除]
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【255】昔の話 13
 直紀  - 09/10/4(日) 1:34 -

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   感想、ありがとうございます。

冗長な文章で申し訳ないですが、少しでも僕の気持ちをわかってもらいたくて敢えて書いてます。

あと何回かで終わりですので、どうかお付き合いください。


2年生の三学期の初めの事でした。

事件は起こりました。

アルバイトの帰りの寒い日でした。
Kさんは地方に出張でお店には来られず、日曜に会おうな、ってだけ約束してくれました。
わずか二、三日なのに僕にはそれがもどかしくて、少しでもKさんの面影を感じたくて一人で公園へ出掛けたのです。
冬の公園は誰もいなくて、風も冷たく、ひどく寂しく感じました。
一人で缶コーヒーを買って、いつもの休憩所に座ってKさんの事を思い出しながらぼんやりしてました。
『君、一人かい?』
突然声を掛けられて僕はびっくりしてしまいました。『高校生?こんな遅くに何してるのかな?』
四十代位のおじさんでしたが、派手な柄の服を着ていて何だか胡散臭く感じました。
『あ、あの…』
『いいんだよ。…アレなんだろ?』男の人は僕の隣りに強引に座ってきました。何となく危険を感じて僕が立ち上がろうとするのを、おじさんが無理矢理引き止めました。肩を掴まれ、抱き寄せられました。
『逃げなくてもいいって。…君、でかい兄ちゃんとよく一緒にいる子だろ?』
心臓が凍り付きそうな言葉でした。
『いつも幾ら貰ってんだい?おじさんもお小遣いあげるよ?』
いきなりズボンの上から股間を掴まれました。
僕は渾身の力でおじさんの手を振りほどきました。立ち上がって駆け出そうとしました。
『待てよ!』腕を掴まれました。かなりの力でした。『学校に言われても困るだろ?おじさん、そんな事はしないけどね。…ちょっと遊んでくれたらいいんだ。それでお小遣いだってもらえるんだから、悪くないだろ?』
僕は完全にウリの子だと思われているようでした。
『僕、そんなんじゃないです!放してっ!』
必死で逃げようとする僕の顎辺りを男がガシッと掴みました。
『でけぇ声出すんじゃねぇよ。…どっちだって同じだろうが。薄汚い少年売春夫のクセに!』
男はそのまま僕を身障者トイレへと押し込みました。
僕はすぐに脱がされてしまいました。コートも制服もトイレの床に打ち捨てられ下着は男の持っていたナイフみたいなもので切り裂かれました。
『おうおう。スケベそうな体してんじゃねぇか』
男は僕の胸にむしゃぶり付いてきました。乳首を噛まれて痛くてたまらない。お尻やチン〇も乱暴に触られ少しも気持ちよくない。
それ以前に強姦されることへの恐怖が先立っていたのかもしれません。
『どうだ?あの兄ちゃんにも色々してもらってんだろう?ココ、いじられると感じるだろ、え?』
無理矢理指をお尻の穴に突っ込まれました。
『痛い、痛いよっ!やめてっ!』
『嘘つけ。二本もくわえてるクセに』
洗面台のところに押さえ付けられ、お尻を突き出させられました。冷たくてヌルッとした感触。ローションか何かを塗り込まれたみたいでした。
『さあ、お前の一番欲しいのをやるぞ?』
お尻の穴に男のがあてがわれかと思うと一気に貫かれました。
『いやぁーっ!』
『うるさいな』
口にハンカチを押し込まれると髪を掴まれ顔を上げさせられました。鏡には眼を泣き腫らした自分の顔。正視できなくて思わず眼を反らしました。
『おおー。入り口が狭くていいケツじゃないか』
男はそのまま激しい抽送を始めました。

【256】[管理人削除]
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【257】昔の話 14
 直紀  - 09/10/7(水) 3:50 -

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   はじめさん、丁寧な感想をありがとうございます。

話はこれから僕にとって一番辛かったところになりますが、頑張って続けたいと思います。


男は僕のお尻に腰を打ち付けながら、手で僕のチン〇をまさぐります。ローションを絡ませ、執拗に…。
『ほーら、マラも勃ってきたじゃねーか!この変態息子!』
Kさん以外の人に、それも無理矢理犯されている。
嫌で嫌でたまらないのに、まだ大人になりきれていない僕の体は悲しい程に正直でした。
勃ってしまったモノは男の乱暴な手で扱かれ、僕のはまだ刺激に弱く、すぐに出してしまいました。
『なんだよ、根性ねぇな!まあいいや!』
男は僕のお尻を犯し続け、チン〇を擦り立てるのもやめません。
やがて男はキチ〇イみたいな声を上げて精を放ちました。
Kさんは初めての時は確かに僕の中へ出しましたが、それからはちゃんとゴムを付けてくれてました。
なのにこの男は…。
おぞましいものを打ち込まれた気分でした。
『どうだ、俺のは?あの兄ちゃんとどっちがよかったかな?』
悲しさと情けなさでグッタリしている意識の中で、男の手がお尻を乱暴に割るのを感じました。
男の放った、キタナイ液体が太ももを伝っていくのが嫌でもわかりました。
『汚された』
なんの誇張もなく、そう思いました。
抗しがたい脱力感。僕はその時、お尻から何か重たいものが落ちていくのを感じました。
『汚ねえな!ウリにくるならちゃんと綺麗にしてこいよな!』
僕はウ〇コを漏らしてしまったのでした。
死にたいぐらいの屈辱でした。
Kさんとの時はもちろん綺麗にしてました。でも、この時はセックスなんて少しも考えてません。ましてやウリなんて…。
『まあいいや。…また小遣い欲しかったら、おいで。可愛がってやるから』
男は身仕度を直すと千円札を一枚、僕の顔の前に置いて出ていきました。


僕はこの夜以降、公園に行けなくなってしまい、アルバイトも無断で辞めてしまいました。

Kさんのとこへは行ってみました。
でも、自分の体が汚れてしまったのを知られたくなくて、ドアを叩けずに家に帰ってしまうばかりでした。

【258】昔の話 15
 直紀  - 09/10/13(火) 22:42 -

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   恐ろしいぐらいの、無味乾燥な日々が過ぎていきました。

学校はギリギリの成績で進級できましたが、僕はすっかり元気を失くしてしまっていました。
勉強も捗らず、もともと無趣味な僕は若さを発散させるなんて術もあるはずなくただぼんやりと毎日を浪費するばかりでした。
一部の女子からは、『大人びた』とか『哀愁を感じる』とか言う向きがあったようですが、勿論僕には聞こえるはずもありませんでした。
脱け殻または生ける屍。そんな風でした。

そうこうしているうちに春休みがやってきました。

ある日の夕方、僕は何の感興もなく駅前を歩いていました。
アルバイトをしてた居酒屋さんはほとんど無意識に避けて通り、用事もないのにスーパーに入りました。
ただブラブラと店内をうろついていました。
お惣菜のコーナーに来た時でした。僕は心臓が止まりそうな気がしました。

Kさんがそこにいました。

Kさんは目立たない背広姿で、フライのパックを手に取りにらめっこ。カゴの中にはビール、じゃなくてお茶のペットボトル?
よく見るとKさん、随分痩せて見えます。
いえ、ゲッソリと痩せていました。
表情はいつものむっつりですが、心なしか少し寂しそうな、元気がなさそうな気がしました。
涙が出てきそうでした。駆けていきたいとも思いました。
でも、僕にはそんな勇気はありませんでした。
品定めが終わったのか、Kさんが動き出しました。僕は慌てて棚の蔭に隠れました。
Kさんはそのままレジへ。どういう訳か僕はその背中を追ってフラフラと歩き始めました。

日曜毎に通った、見慣れた道。いつもは楽しく、少し恥ずかしい道中でした。
この時は…よく覚えていません。
ただ、あの大きな背中を見失うと全てが終わってしまうような気がして…。
やがてKさんのアパートに着きました。Kさんは二階のお部屋へと上がっていきます。
その時、僕の胸の内に『クソ度胸』と言ってもいいぐらいの勇気が湧いてきました。
駆け出すと一心不乱で階段を昇りました。けたたましい鉄板の音にKさんが気付いたのか、僕の方を振り向きました。
僕はKさんの一歩手前で止まると、ただ真っすぐにKさんを見つめました。
動悸が激しいのは、走ってきたからだけではなかったはずです。
言葉は詰まって出てこず、体は動きを止めたまま…ただ、大好きな人を見つめていました。
Kさん、びっくりしたような顔で僕を見てましたが、やがて満面の笑みを見せました。それはこれまで見たことのなかった、ひどく優しくてあったかな笑顔でした。
『よっ!』
軽く手を挙げ、居酒屋さんで見せるいつもと変わらない挨拶。
その刹那に僕は大声で泣きながらKさんの胸に飛び込みました…。

【268】昔の話 16
 直紀  - 10/11/20(土) 0:41 -

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   色々な方に読んで頂いてたのに、更新しなくて済みませんでした。
僕自身、この一年に色々なことがあり過ぎて、書く時間も気持ちのゆとりも失っていました。
今更と思われるかもしれませんが、最後まで書き上げたいと思いますので、お付き合いください。


Kさんのお部屋に通されてからは少しだけ落ち着きました。
久しぶりに見る恋人のお部屋は以前と変わらず少し殺風景で、よく片付いていました。隅っこに置かれたアイロン、台所のお鍋、布団など所々に見える生活の匂いが、ほんのり温かみを添えてくれてます。
Kさんがコップを二つ、持ってきてペットボトルのお茶を注ぎ、一つを僕に寄越してくれました。
僕は押し黙ったまま、コップを見つめるだけ。
Kさんはその背後で着替えをしています。
部屋着と寝間着の兼用みたいな、古ぼけたジャージになると僕の前に座り、お茶をぐいっと飲みました。

僕はなんて話したらいいのか、わかりませんでした。狂ってしまったかのようにコップばかり見つめているだけ。
Kさんは新しいお茶を注ぐと、買ってきた物をテーブルに広げました。
『俺、メシ食うけど…いいかな?』
僕に憚るような口調で言いましたが、僕は答えられませんでした。
『直紀も、食うか?』
やっぱり答えられませんでした。
Kさんは夕ご飯を始めました。出来合いのフライ物とお惣菜、インスタントの味噌汁だけ。お供はお茶。
食べてる姿を少しだけ見ましたが、居酒屋さんで見せていたあの豪快さはなくて侘しくて、病人さんのようにも思えました。
『店、辞めたんやな?』
ご飯に味噌汁をかけながらKさんが言いました。
『大将が残念がってたよ。どうしたん?』
『…ごめんなさい』
ようやく言い出せた一言でした。
『…いや、責めてんちゃうで。受験とかもあるやろうし。…まあ、俺も最近ずっと行ってないんやけどな』食事を終えてテーブルの上を片付け始めました。
お店を辞めた理由、言い出せるはずはありません。
他の男の人に汚された体です。話せば全てが終わるに違いありません。
僕は俯いたまま、ぐっと唇を噛んでました。
『どないした?何をそんなに思い詰めた顔してるねん?』Kさんが僕の傍に座り直しました。手がすっと頬に触れました。
僕は咄嗟にその手を払い除けてしまいました。さっきは自分から抱きついたのにどうしてなのか、まるでわかりませんでした。
『ご、ごめん…』
謝ったのはKさんでした。気まずい空気が流れていきました。
『…遅くなったらあかんから…帰り。…今日は来てくれてありがとうな?…久々顔見れて、嬉しかったわ』Kさんの言葉に、僕はギクリとさせられました。
頭に浮かんだ『お別れ』の冷酷な文字。
大好きな人の姿を見失いたくなくて、意を決したというのに、僕と来たら!
鉄の階段を駆け上がった、さっきの『くそ度胸』が再び沸き上がってきました。僕は立ち上がると、着ている物を脱ぎ捨てました。
『お、おいっ!』
Kさんが慌てて止めようとしましたが、僕は構わず、全部かなぐり捨てました。そうして、Kさんの胸に飛び込みました。
『僕は汚れてしまった子です。…それでもいいなら…抱いてください…』

【269】昔の話 17
 直紀  - 10/11/20(土) 1:30 -

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   Kさんはびっくりしたようでしたが、やがて僕の髪を撫で始めました。両手で僕の顔を包み込むようにして覗き込みました。とても優しげな視線でした。
『何があった?…話せるなら話してごらん?』

僕は屈辱に満ちた、『あの日』の事を話し始めました…。

話し終わって、不思議と涙は出ませんでした。
Kさんに聞いてもらえてわだかまりみたいなものが消えたのでしょうか、清々しいぐらいだったのを今でも覚えています。
そして、この、僕の恋人はあんな事件のことぐらいで僕を捨てたりする人ではないと確信し、どうして今まで話さなかったのか、とかえって後悔しました。
煙草を吸いながら僕の話を聞いていたKさんは、僕の頭をポンと叩くとクシャクシャしてくれ、それから僕を抱き締めました。
『…辛かったんやな』
抱き締めたまま、Kさんが言いました。
『そんな辛い話を、よく話してくれたな。…ほんま、偉いな、いや、強い子やな、お前は』
抱擁を解いたKさんの眼が涙で潤んでいました。
『…怒らないの?』
『怒るか、あほ。…ていうか、そのオッサン、探しだしてシバき倒さなあかんな!直紀に酷いことしやがって!』
僕は首を振りました。
『やめて、そんなこと。Aさん、殺しちゃうかもしれないから…Aさんが犯罪者になっちゃったら、僕、イヤだよ』
Kさんが息巻くのがなんだかおかしく思えて、僕は久しぶりに笑顔を見せることができました。
『お?やっと笑ったな?やっぱり直紀は笑った顔が一番や。…わかった、やめとくよ。蹴り一発ぐらいで』『もう!』
お互いが吸い寄せられるようにキスへと進みました。『…どんな事があっても直紀は直紀や。…俺の大事な直紀や』
『…ありがとう』

…僕の上に、ゆっくりとKさんの体が重なっていきました。

【270】昔の話 18
 直紀  - 10/11/20(土) 14:18 -

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   長いディープキスに続く、まどろっこしいぐらいの緩やかで優しい愛撫。
野蛮な男に犯されたあの日から、自慰にさえ嫌悪感を抱いていた僕にとって、それは心の奥のどこかで渇望していたものに違いありませんでした。
Kさんの手が、唇が体のどこかに触れる度に襲ってくる、ジンと頭が痺れるような感覚。彼もそれを心得ていて、僕の体が小さく仰け反り、喘ぎを漏らす場所をゆっくり、時間をかけて攻めてくれます。
『…忘れてまえ、嫌なことは』囁いてくれました。
Kさんが服を脱いで、再び僕を抱き締めてくれます。『…痩せちゃったね?』
『…実はな、重い病気で入院してたんよ。…もう酒は飲めんかもな。死にかけたしな』
僕は思わず抱き締め返しました。少し煙草の匂いのするKさんの髪に鼻を埋め、深く息をしました。
『…よかった。こうして生きてるんだもの』
『そやな。死なんでよかったわ』
僕の足を大きく開かせるKさん。お尻にKさんのがあてがわれました。
『…中、出さんように気を付けるからな?』
僕は首を振りました。
『いいの。今日は中にしてください。その方が忘れられるから…』
Kさんは少しの間黙ってましたが、やがてゆっくりと僕の中に入れ始めました。胸や頬を愛撫されながらの緩やかで深い挿入。
僕は幸福感いっぱいで受け入れてました。
チン○も痛いぐらいになっていて、長いこと自慰もしていなかったことも手伝って、指一本でも触れられたら出してしまいそうなぐらいでした。
Kさんはそれに気付いているのか、チン○には一切触れずに黙々と抽送を繰り返すだけ。
やがて短く、低い呻きと共に僕のお尻の中に精を注ぎ込みました。
入れたままで僕を抱き締めてくれ、甘いキスをプレゼントしてくれました。
『大丈夫か?』
『うん。…僕、今、とっても幸せです…』
『ならよかった』
Kさんが僕から緩慢な動作で離れました。ちょっとだけ悪戯っ子みたいな笑みを見せました。
『?』
Kさんが突然、まだ勃ったままの僕のチン○に取り付きました。キュッと握られ先の方をチロッと舐められました。
『あ、あーっ!ダメ、ダメっ!』
『いっちゃえ』
チン○をくわえられ、二、三度擦りたてられただけで僕はKさんのお口の中に放出してしまいました。
Kさん、しばらく僕のから搾りだすようにしてましたが、やがて飲み込んでしまいました。
『にっがー。…随分、溜まってたんやな?』
『あほ!いじわるっ!』
『はははは!』

…駅前まで送ってもらい、僕は家に帰りました。

この日の言い尽くせない幸福感は今でも忘れていません…。

【271】昔の話 19
 直紀  - 10/11/20(土) 22:57 -

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   再会の日から僕は少しずつ元気を取り戻していきました。

学校では『また明るくなったね』とか『なんか前より可愛くなったね』とか言われ、女子から告白されたこともありました。もっとも、僕はKさんの事が頭にあって断ってばかりでした。勉強も捗るようになり、経済的な理由から進学は諦めたにしろ、まだ目標は漠然としてましたが就職を目指して頑張ろうと思うようになってました。

バイトも再開しました。無断で辞めたので、怒られると思ったのに、みんな温かく迎え入れてくれて子供ながらに人の情けを感じたりしました。

Kさんとの逢瀬は、もちろん続いていました。会うのはバイトのない夕方から夜か、日曜日。公園とか危険のある場所は避けることにしました。
Kさんに勉強を教えてもらうこともありました。
意外と文系に強くて、法律的な知識なんか弁護士さんじゃないのかと思うぐらいでした。
『Aさん、どこの大学だったの?』
『俺?高卒やよ。工業系』『うっそだあ!』
『ほんまやて。法律は好きやから知ってるだけ』
『でも工業系だったら、理数も強いんじゃないの?』『ビブンセキブンとか?んなもん知らん。授業は寝る時間やし、俺は実習専門』『…よく卒業できましたね…』
『ブービー賞だぜ!』
『(…威張って言うことかよ)』
『あ?なんか言うたか?』
勉強の途中や終わったあとの『息抜きしよう』が僕らのエッチの合図になりました。
勉強するのはKさんのお部屋がほとんどだったから、セックスに進むのが普通でした。
『ほら、見てみ?…スケベやなあ』
姿見の前で、Kさんに後ろから貫かれながら足を広げて座らされてます。
『…いや…やめて…恥ずかしいよ…』
『いーや、やめへん。…さっき、いらんこと言うた罰や。…こんなに大きくしやがって…このまま何回もイカしたるからな、覚悟せーや?』
『…ごめんなさい…もう言わないから…』
…こんな、少し変態なこともしばしばありました。

ある日、終わったあとでKさんがふと言いました。
『…英雄ではなく、他より優れているでもなく、むしろ弱々しい存在。ただ、逆風の中で拳を握り締め、顔を上げて立っていられるだけの強さだけは持っている。そんな少年…』
『…なにそれ?』
『いや、戯言やよ。オッサンの』
『詩人、みたいですね』
『つまらんリフレインや。理想像やよ、ただの』
僕はKさんの胸に頬をすり寄せました。
『僕が、それになってあげられたら、いいな…』
Kさんは僕の髪を撫でてくれました。

幸せな時間が静かに流れ、二人を包んでいました。


やがて残酷な時を迎えるなんて知らず…。

【273】昔の話 20
 直紀  - 10/11/23(火) 1:16 -

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   高校三年の夏は本当に楽しい季節でした。
二人で富士五湖へのキャンプに出掛け、まるで小学生みたいにはしゃぎまわりました。

その余韻が冷めない晩夏のある夜、Kさんがお店にやって来ました。
年の初めに入院されてからずっとお酒はやめていたはずです。お店に来るのなんて、本当に久しぶりで店長さんとかもすごく驚かれてました。
『よう』軽く手を挙げながらの以前のままの挨拶。
『なんだい、久しぶりだねぇ!どうしたんだい?ずいぶんスマートになっちゃって!』
『色々ありましてね。…直紀君、生な?』
僕とKさんの間柄は秘密だから、僕からは何も言えません。出された大ジョッキを持っていくと、Kさん一息で半分を空けちゃいました。
『お酒、大丈夫なの?』
小声でそっと尋ねました。『あ?…心配すんな、自分のことは自分が一番わかっとる』
『でも…』
『えーから。今日は飲まんと気が済まんのや。ほれ、おかわり』
『…』
空のジョッキを手に厨房に入りました。

それからのKさんときたら以前の豪快な飲みっぷり、食いっぷりでした。他のお客さんとも意気投合して、差しつ差されつ…。
Kさんの体のことを知ってる僕は気が気で仕方ありませんでした。
『直紀君、えらい人気者やな!』
『そうなんですよ。今じゃウチの自慢の看板息子ですよ』
店長さんと話すKさんに日本酒をお持ちしました。
いつもなら僕から注いであげるのですが、この時はする気になれませんでした。『どした?注いでくれへんの?』
僕の気も知らないで振る舞うように思えて、何となく腹立たしく思いました。
『Kさん!飲みすぎですよっ!』つい言ってしまいました。
それが思いがけず、怒気を含んでいたのかも知れません。
Kさんも店長さんも隣のお客さんも呆気にとられたようになりました。
『…お兄ちゃん、急にどうしたのよ?』
お客さんに言われて、はっとしました。何か取り返しのつかないことをしてしまったような気がしました。『直紀、お客さんに向かってそんな言い草はないだろう?』
するとKさんが手を上げて制しました。
『…いや、彼の言うとおりですわ。…今日は帰りますわ』
『ああ、Kさん!』
Kさんが立ち上がります。店長さんが目配せしたので僕はレジへと走りました。『…ごめんなさい』
『ええんよ。俺もお前の気持ち知らんで、悪かった』会計をしながら、小声でやりとりしました。
『大将、すんません。また来ますわ!』

外に出てKさんをお見送りします。
残暑の夜の、むっとした空気が立ちこめていました。『日曜、いけるか?』
『うん…』
『ウチでゴロゴロしよか』『うん。…なにか埋め合わせするね?』
髪を撫でてくれました。笑顔で僕の顔を覗き込んでくれましたが、何となく寂しさが見え隠れしてました。『ええねん。気にすんな!…それより、戻る前におっきい声ですんません、って言うときや?…大将に怒られんようにせんと』
『はい。…ごめんね、ほんとに…』
Kさんはもう一度、笑顔を見せると歩きだしました。僕はその背中を見送っていましたが、ひどく切なく見えて、自分が情けなく思えて、涙が出てきました。

『申し訳ありませんでした!お客さま!』

ありったけの声で叫びました。

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