厚生労働省は、若者の間で乱用されている脱法(違法)ドラッグ「RUSH(ラッシュ)」の輸入販売業者(東京都新宿区)を、薬事法違反(無承認医薬品販売)の疑いで警視庁へ告発する方針を固めた。厚労省が脱法ドラッグ業者を告発するのはこれが初めての事となる。
脱法ドラッグをめぐっては警視庁が昨年12月、都条例を初適用して「5Meo-MIPT」の販売業者を逮捕したが、ラッシュは都条例の対象外。厚労省は輸入・卸業者、販売店への指導を強化していた。
告発されたのは新宿区内にある化粧品輸入販売会社であり、厚労省は、9月に同社幹部から事情を聞いている。その際に同社幹部は『購入者が吸引していることは知っているが、芳香剤として輸入しているだけ。』と答えたと言う。
そして、厚労省は昨年10月に、同社に販売しないよう指導、使用目的や販売先、輸入量を報告するよう命令をするも、同社は『輸入しているのは脱法ドラッグでなくビデオクリーナー。』などと反論し、自主回収や販売中止には応じなかったと言う。その為、異例とも言える厳しい措置に踏み切ったようだ。
厚労省や米・消費者製品安全委員会(CPSC)の調べによると、同社は、20年近く前から、米国の製造元からRUSHを1万本単位で大量に輸入する“老舗”であり、米インディアナ州の製造元から、横浜港経由で、1本あたり約200円でRUSHを仕入れ、約500円で卸し、店頭やネットでは1本あたり約3000円で売っており、国内流通分の大半を輸入、末端での販売額は年数億円以上とみられる。同社が昨年9月、横浜港から輸入しようとして税関に差し止められた積み荷からは、1万4000本が見つかっている。
同社役員は10日、読売新聞の取材に『あくまで防臭剤で、末端の使い方まで知らない。心臓がどきどきするだけで、重大な事故があったとも聞いていない』と話した、と言う。
RUSHは血管拡張作用のある揮発性の高い液体で、使い方によっては循環器障害で死亡するおそれがある。主に12ml入りの小瓶で売られ、鼻から吸引することで性的快感が高まるという。マジックマッシュルームやMDMA、5Meo-DIPTといった代表的な脱法ドラッグは既に麻薬指定されたが、RUSHは医薬品成分が含まれることなどから指定を免れてきた。
亜硝酸エステル類を含む揮発性の液体であるRUSHは、麻薬などと同様に幻覚や多幸感などの精神症状を引き起こすが、それは、血管拡張の作用による物、血圧が急低下し、死に至る危険もあるとされる。その為、米国内では製造販売が禁止されている。同省は国内での被害例を把握してはおらず、化学構造式が麻薬とはわずかに異なる為に、麻薬取締法を適用できない。「芳香剤」などとして販売されると、薬事法の適用も難しい。このため、警察の捜査は及びにくく、末端の販売業者を都道府県などが行政指導しても、入手ルートの追及は困難なのが現状だ。
国内では現在、100種類ほどの脱法ドラッグの流通が確認されており、若者を中心に乱用が深刻化している。厚労省は、防臭剤、芳香剤名目などでの輸入・販売でも業者を摘発できるよう、近く薬事法を改正する方針だ。

批評掲示板「全国で初、脱法ドラッグ卸売会社への立ち入り検査。」
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